コンテナやユニットハウスは建築物?4号建築物ってなに?
コンテナの設置を検討していると気になることの一つに、建築確認があります。
この記事では、そもそもコンテナが建築物に当たるのか、そして建築確認を受ける必要があるのかなどを解説していきたいと思います。
コンテナは建築物??
コンテナというともとは貨物輸送用の鉄製の箱。だから建築物じゃないでしょ!という主張は通りません。
国土交通省では「随時かつ任意に」移動できない場合は「建築物」に該当するとの見解を示しています。
ユニットハウスはもちろん、コンテナであっても土地に定着していて、屋根があって壁があれば建築物であるというのが行政の見解であるということになります。
逆に「随時かつ任意に」動かせる場合は土地への定着が否定されて、建築物にはならないとも言えます。
しかし実質で言えば、コンテナをいつでも自由に動かせる状況にある人は少ないでしょうから、一般的には建築物だと考えるのが妥当です。
また特定行政庁によっては「事務機器の設置や物品の収納等の状況により、事務所・倉庫等の用途に継続的に使用されていると判断されるものについては、建築物に該当する」と解釈される場合もあるようなので注意が必要です。
4号建築物ってなんだろう?
建築物には映画館やショッピングセンターのように大きなものから、家庭にあるような小さな物置のようなものまで様々なものがあります。これらを一まとめにしてすべてのルールを適用することはできないため、建築物のくくりの中でもさらに分類が分かれています。
建築物には大きく分けて4つのカテゴリがあり、コンテナやユニットハウスは基本的には4号建築物という部類になります。
では4号建築物とは一体どんなカテゴリなのでしょうか?
定義は簡単で1号~3号建築物以外の建築物が4号建築物となります。そうなると、4号建築物を理解するためには1号から3号の建築物を理解することが必要ですね。
まずは1号から3号の建築物をざっくり説明してみます。
- 1号建築物=一定規模以上(用途に供する面積が100㎡を超える)の特殊建築物(特定用途の建物)
- 2号建築物=木造で大きな(延床500㎡を超えるか、3階以上か、高さ13mまたは軒下9mを超える)建物
- 3号建築物=木造以外で大きな(2階以上か、延床200㎡を超える)建物
いかがでしょうか。
ざっくり言うと大きな建築物が1号~3号建築物と言えますね。そして上記に当てはまらない建築物が4号建築物です。
なので多少語弊もありますが、わかりやすく言うと「4号建築物とは小規模な木造以外の平屋、もしくは木造2階建てまでの建物」だと言うことができます。
この記事の最初に、コンテナやユニットハウスがは「基本的には」4号建築物と表現したのは、連結や積み増しなどを行い規模が大きくなると3号建築物になったり、さらに用途によっては1号建築物にもなりうるからです。
コンテナだろうがユニットハウスだろうが、構造・用途・規模が1号~3号建築物のいずれかに当てはまると、4号建築物とはならないないということです。
建築物の分類が理解できたところで、次は建築物と確認申請の要否についてみていきましょう。
確認申請が不要なケース
建築確認申請とは建築物が法的に適合していることの確認をとることです。
1号~3号建築物はどんな地域に建てようともこの建築確認を受けることが必要です。これは建築基準法第六条一号~三号に明記されています。
では4号建築物の場合はどうなるのでしょうか?
指定地域以外の4号建築物なら建築確認が不要
建築基準法第六条は「建築物の建築等に関する申請及び確認」について規定している条文です。その条文において4号建築物について次のように書かれています。
前三号に掲げる建築物を除くほか、都市計画区域若しくは準都市計画区域(いずれも都道府県知事が都道府県都市計画審議会の意見を聴いて指定する区域を除く。)若しくは景観法(平成十六年法律第百十号)第七十四条第一項の準景観地区(市町村長が指定する区域を除く。)内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物
これはつまり、この法律で指定した地域内では1号から3号建築物に該当しない建築物であっても、建築確認を受けなさいと言っています。
逆に言えば4号建築物の場合、ここで指定される地域以外では建築確認は不要と書かれているということになります。
都市計画区域内でも建築確認不要な場合がある
「あー、うちは都市計画区域内だからコンテナ置くのにも建築確認が必要なんだなー」とまだ早合点はしなくて良いかもしれません。
実は都市計画区域内でも建築確認不要で建築物を設置できる場合があります。
しかもこの例外は、条件に当てはまれば建築物の種類にかかわらず建築確認が不要となります。
その条件は「床面積が10㎡以下」「防火地域・準防火地域以外」「敷地内での新築以外(棟としての新築はOK)」など。
これらの条件を満たせば建築確認は不要です。
一般的に防火地域や準防火地域は、都市計画区域内でも特に建物が密集しているような地域に指定されています。
このような密集地以外ならば、小規模な倉庫や物置、離れ等は建築確認なしで設置することが出来るのです。
詳細は下記の関連記事で紹介していますので、ご興味のある方は読んでみてください。
建築確認の一部が省略できる「確認の特例」
確認の特例とは?
建築確認が必要な場合でも、建築確認の審査や書類の提出が省略できる場合があります。
これを「確認の特例」と言い、一定の要件を満たす建築物に認められています。
この特例は建築基準法第六条の四で規定されていて、一号から三号に分類されています。
- 一号:型式認定を受けた建築材料を用いる建築物
- 二号:型式認定に適合する建築物の部分を有する建築物
- 三号:建築士の設計にかかる4号建築物
建築士によって設計された4号建築物の場合、この三号の適用をもって都市計画区域内においても建築確認の一部(構造計算書関係)を省略できる特例が認められています。
これがいわゆる「4号特例」です。
4号建築物の確認の特例
三号条文による特例なのに4号特例、、、、と思うかもしれませんが、「4号建築物に適用される確認の特例」とでも考えると良いと思います。
当然ですが「建築士の設計によるもの」に特例を認めることが示されていますので、建築士の設計していない4号建築物では特例を受けることはできません。
複雑になってしまうのですが、4号特例は建築施行令十条で2つのパターンに分けられます。
4号特例の令十条三号
防火地域及び準防火地域以外の区域内における一戸建ての住宅
4号特例の令十条四号
建築基準法施行令十条三号が適用されない4号建築物
令十条三号の方が後者よりも審査対象外となる項目が多くなっています。
さて、ではこの4号特例の恩恵をコンテナやユニットハウスは受けることができるでしょうか?
コンテナを建築材料として、建築士さんが構造計算を行い設計すればあるいは可能かもしれません。
しかしそこまでやるとコンテナを使うコストメリットは全くありません。
海上コンテナの外観や質感が好きで、コストはいくらかかっても構わないという場合は、確認申請の負担が減るので検討すると良いと思います。
最後に、この4号特例について注意が必要なことがあります。
確かに特例に該当すると構造計算書関連の図書の省略ができるのですが、あくまで法令の基準を満たすことは大前提、決して構造計算をしなくても良いということではありません。
審査していない部分についての責任は、建築士と建築主が背負うことになります。
近年、4号特例を悪用した住宅が乱立し、災害時い人的被害を出してしまう事例などがみられ、4号特例については見直しが迫られています。
国土交通省も以前から見直しを公言しており、近い将来何らかの変更が行われるものと思われますので、常に最新の動向を確認しておくことをおすすめします。
※当記事の内容はあくまで当社の見解です。個々の具体的な事例についての判断は必ず所轄の役場にご相談ください。